Search # to go to Page Seach * to go to Sections コミュニティエンパワーメントプログラム 2021 はぴ家ガイドブック コロナ禍におけるASEAN諸国の自閉症、 知的障害、心理社会的障害のある人の 身体活動の促進について Logos: Japan International Cooperation Agency (TICA), APCD, University of Tsukuba Flags: Cambodia, indonesia, Laos, Malaysia, Myanmar, Philippines, Thailand, Vietnam, Japan #Page 2 コロナ禍におけるASEAN諸国の自閉症、知的障害、心理社会的障害のある人の身体活動の促進について アジア太平洋障害者センター タイ王国 バンコク Phone +66 (0)23547506 • +66 (0)23547507 www.apcdfoundation.org #Page 4 まえがき はじめに、合計3回のワークショップの成功と、このガイドブックの作成を、心から祝福したいと思います。 JICAは新型コロナウイルスで様々な困難を抱える方を支援するべく、コミュニティ・エンパワーメント・プログラム(CEP)を開始しました。今回のプロジェクトは、特に障害を持つ子どもたちとその親の皆さんを、地域レベルで支援する草の根レベルでの活動として開始しました。ワークショップでは障がいのある子どもたちが笑顔で、体操や様々なゲームをしている姿が印象的でした。このガイドブックは、プロジェクト参加者の知識や経験、そして特に子どもたちへの愛情がたくさん詰まっています。ASEAN諸国のすべての特別支援を必要とする子どもたちとその親にとって貴重なものになると思います。そして、このプロジェクトの最も素晴らしい成果は、ASEAN諸国間のネットワークとつながりが強化されたことです。新型コロナウイルス拡大下においても、ともにコミュニケーションをとり、ともに運動し、ともに笑うことができることがわかりました。APCDや澤江先生を始めとする筑波大学の皆様、そして全ての関係機関の皆様のご尽力とご貢献に感謝いたします。このガイドブックを使ったエクササイズを、ぜひご家庭でもお楽しみいただければと思います。 森田隆博 タイ事務所所長 #Page 5 私は日本の筑波大学で、障害のある子どもたちの運動発達支援を研究し、実践しています。 2020年4月末、日本では学校をはじめとする多くの施設で外出の自粛が求められ、発達障害のある子どもたちのために企画された活動も休止せざるを得ませんでした。 活動休止後すぐに、私たちの活動に参加している発達障害のある子どもの親たちから、「子どもが家にいると食べ過ぎてしまう」「動きたがらない」「日常的な活動がなくなって不安になる」「こだわりが強くなった」などの訴えがありました。親御さん自身も、今まで経験したことのないこの状況にどう対処したらいいのか、ストレスや不安を感じていました。そこで、私は仲間を集めて、このような状況下でも発達障害のある子どもたちが楽しく体を動かし、健康的な生活を送れるようにするための計画を作りました。その計画とは、オンライン活動でした。私はIT技術に詳しいわけではありませんでしたが、子どもや保護者のことを考え、試行錯誤しながらIT技術について学びました。まさに必要性は学習の源です。 このガイドブックの内容は、私や私の同僚の経験に基づいています。もちろん、このガイドブックに書かれている通りにやる必要はなく、参加する子どもたちが楽しめるように内容を変更しても構いません。私たちは何度も挑戦しては失敗してきましたので、皆さんにも何度も挑戦していただき、子どもたちにとってよりよい内容にバージョンアップしていただきたいと思います。皆さんの試行錯誤とバージョンアップした内容もまた、私たちの学習の源になるでしょう。 澤江幸則先生 筑波大学体育系 准教授 臨床発達心理士 #Page 6 APCDは、独立行政法人国際協力機構(JICA)と筑波大学の「コロナ禍におけるASEAN諸国の自閉症、知的障害、心理社会的障害のある子どもの身体活動の促進」プロジェクトへの多大な協力と貢献に感謝します。 本プロジェクトの重要な成果は、障害が見てわかりにくい子どもの親が、子どもの身体活動を促進するための力をつけるためのガイドブックです。このガイドブックは、英語とASEAN加盟国のローカル言語で作成されています。私たちは、このガイドブックが、COVID-19の感染拡大中、またその後も、ASEAN地域における対象となる人たちが健康的な生活を送るための資源になると信じています。 私たちは、各ワークショップに積極的に参加していただき、ガイドブックの改善点を提案していただいた、タイ王国ASEAN自閉症ネットワーク、メコン圏知的障害者ネットワーク連盟、タイ王国精神障害者協会、タイ王国知的障害者協会、自閉症連合協会のメンバーを含むすべてのASEANパートナーに感謝します。残念ながら、ブルネイとシンガポールの同僚はこのプロジェクトに参加できませんでした。両国が参加できれば、このプロジェクトはより完璧になると考えています。 このプロジェクトが、現在のCOVID-19の危機において、日本やASEAN諸国のさまざまなパートナーやネットワークと協力して、障害者や高齢者のために、ポジティブな変化を起こす方法のモデルとなることを確信しています。 APCD事務局長 ピルーン・ライスミット #Page 7 1章 はじめに CEP って何? コミュニティ・エンパワーメント・プログラム(CEP)は、COVID-19 感染拡大による影響を受けた障害のある人を含む社会的弱者を草の根レベルで支援し、エンパワーするためのプログラムです。 資金や人材は? CEPの資金は、独立行政法人国際協力機構(JICA)タイ事務所が提供しました。APCDがプロジェクトの進行と実施を担当し、筑波大学が知識移転のための技術支援を行いました。3者は計画、実施、モニタリングにおいて緊密に連携しました。 #Page 8 なぜ、我々は、COVID-19において、ASEAN諸国の障害のある子どもとその家族を対象に、このCEPを実施するのか? COVID-19の感染拡大時には、多くの子どもたちが心身ともに不健康な状態に陥り、家族も不安を感じていました。 健康的とは言い難い食べ物ばかり口にしたり、横になりゴロゴロして、スマホや携帯ゲームなどで遊んだりしています。そのため、体重が増え、イライラしたりすることが多いようです。さらに、家族との交流がなくなり、不満を家族にぶつけてしまうこともあるようです。 “障害者の権利に関する国連条約” 第30条 文化的生活、レクリエーション、余暇およびスポーツへの参加 障害者は、芸術、スポーツ、ゲーム、映画、その他のレクリエーション活動に参加し、楽しむ権利を他の人と同じように持っている。したがって、身体活動は、時間や場所を問わず、障害のある子どもを含むすべての人が参加できるものでなければならない。 このガイドブックは、COVID-19の感染状況において、バーチャルプラットフォームを活用して、自閉症、知的障害、心理社会的障害のあるお子さんとそのご家族の参加を促すためのツールです。ぜひ、エクササイズを楽しんで、子どもたちを笑顔にしてあげてください。さあ、始めましょう! #Page 9 2章 ガイドブックの使い方 本ガイドブックが目指すもの 1) 本ガイドブックは、コロナ禍におけるロックダウン(緊急事態宣言)の際にも、身体活動を通じて生活の質を向上させ、健康的な生活スタイルを推進することを目的としています。 2)本ガイドブックは、親、家族、教師、保護者が、家庭において子どもをサポートし、一緒に遊ぶことを促すことを意図しています。 3)本ガイドブックは、コロナ禍におけるロックダウン中で、対面式のトレーニングや海外旅行・出張等へ行けない場合等に、実践的な知識や活動の場を提供するために、コンピューターを使った交流を利用します。 4)プロジェクトタイトルは「自閉症、知的障害、心理社会的障害のある子どもの身体活動の促進」ですが、本ガイドブックではこれらの人たちについて、「あなたの子ども(たち)」という表現を用います。 誰もが持っている身近な素材を使って、オンラインの運動を作ってみよう! #Page 10 ZOOMを使った運動の実施方法 Zoomはオンラインコミュニケーションツールです。 •45分 以内であれば無料でご利用いただけます。 •操作は簡単で、楽しくご利用いただけます。 •現在とても人気があります。 •誰でも使うことができます。 • Zoomにアカウント登録するには、どうすれば良いですか? 1.パソコンあるいは、スマートフォンでアプリケーションをダウンロードします。 以下のいずれかによって登録することができます。 •お持ちのメールアドレスと併せてパスワードを作成し、アカウントを作成する方法。 •SSO機能または、GoogleやFacebookアカウントを用いてサインインする方法。 2.ログイン • Zoomで設けられたオンラインプログラムへの参加の仕方 ホストの人から提供されたURLで参加する。 ホストによって提供されたミーティングIDのリンクをクリックするだけで、お楽しみいただけます。 #Page 11 ステップ 1. Zoomアプリを開き、「参加」アイコンをクリックします。 ステップ 2. ミーティングIDを貼り付け、自分の表示名を入力し、「参加」ボタンをクリックします。 #Page 12 Zoomで活動を行うためのルームを作成する方法 ステップ 1. ルームを作成するためには、カレンダーのアイコンをクリックします(「スケジュール」と表示されています)。 #Page 13 ステップ 2. 「ミーティングをスケジューリング」と表示された画面にて、各種情報を書き込んでいきます。 ステップ 3. 完了したら、画面右下の「保存」ボタンをクリックします。 #Page 14 教材の準備 本ガイドブックに掲載されている活動を行うにあたっては、家にあるものを利用することをおすすめします。例えば、新聞紙、マスク、テープ、ビニール袋、ヨガマットなどを用意しておくと良いでしょう。運動は、楽しく、できればお金がかからず、子どもたちが自分からやりたくなるものの方が良いでしょう。その際、オンラインでの活動を行うために必要なものは、(ノート)パソコン、メールアドレス、インターネット接続、Zoomだけです。 オンライン活動の実施方法 •イベントの作成 •参加者あるいは、活動に興味がある人へ招待リンクを送ります。 •ワークショップを準備し、ワークショップで行う活動を計画する。 •活動を紹介し、参加者に何をするのかを説明する。 •必要に応じて通訳や説明を行う。 •コンテンツの配信。 •コンテンツを終了し、次回以降の活動に関する説明を行う。 なお、手法や手順、活動の例などの詳細は、本ガイドブックの「付録」にて紹介しています。 #Page 17 3章 身体活動を はじめよう! このガイドブックのために、日本チームとASEAN諸国のパートナーたちは協力し合い、情報を持ち寄り、互いからのフィードバックを共有して、シンプルで親しみやすく、素晴らしいアクティビティを開発しました。ここには9つの活動を紹介します。そして、タイのダンスプログラムをあわせて紹介します。 #Page 18 1)ウォーミングアップ/クールダウン ストレッチ① ねらい: ケガ予防とリラクゼーション! のこり5秒 のこり4、3、2 のこり、1杪おしまい! ポイント • 上半身のストレッチですが、全身を画面に映すようにしましょう。 • カウントダウンが見やすいように、片手で指を折りたたむようにします。 ちょっと難しすぎると思ったら・・・ 動きを細かく分けてみましょう。例えば、 -左腕を体の横に伸ばしましょう。 -右腕を左腕の下に伸ばし、手のひらを上にしてみましょう。 -右手をおでこにつけてみましょう。 など クリック 以下のURLをご利用ください。 https://www.youtube.com/watch?v=zCs25aAWuNY #Page 19 2) ウォーミングアップ/クールダウン ストレッチ② ねらい: ケガ予防のために、しっかりと体を伸ばしましょう ひじをまげて ひじをもって 横にたおします ポイント これは脇を伸ばすストレッチですが、動きが理解しにくい場合は、動きを分解しながら示すとよいでしょう。 ちょっと難しすぎると思ったら・・・ 参加者が、同じような動きであれば、「よくできましたね」と褒めましょう。自発的に動く姿を引き出しながら、徐々に動きを修正していきましょう。 クリック 以下のURLをご利用ください。 https://www.youtube.com/watch?v=BAeT6TGpSVA #Page 20 3) ウォーミングアップ/クールダウン ヨガ・ポージング ねらい: ケガの予防やリラックスのためにも、ヨガのようにいろいろなポーズをとってみましょう。 立ち木のポーズ 戦士のポーズ なんのポーズかな? 参加者が快適に運動できるように、それぞれのバランスの特徴に合わせて時間を設定しましょう。 ポイント ストレッチと同様、全身が映るようにするのと、ポーズによっては、見やすいようにカメラの向きを変えてみるとよいと思います。 ちょっと難しすぎると思ったら・・・ 壁を使ったり、他の人に補助してもらいましょう! クリック 以下のURLをご利用ください。 https://www.youtube.com/watch?v=_UnwuiFBNgk #Page 21 4) お手玉ゲーム ゲーム内容: 家にある袋(お店などで商品を入れるビニール袋など)に空気を入れて封をして風船にします。その風船を、その場からあまり移動せず、空中にトスし続けます。 ふくらませます 手のひらでトスします ひじでトスします 20秒で何回トスできるか、チャレンジしてみましょう。 ポイント 1回しかトスしかできなくても「よくやった」と褒めてあげましょう。 ちょっと難しすぎると思ったら・・・ • もっとフワフワするような風船とかを使ってみましょう。 簡単すぎるなと思ったら・・・ • 手のひらでトスする以外に、手を手刀やグーにしてトスしたり、肘や肩、足、頭など、いろいろなところで、20回以上、トスできるかチャレンジしてみましょう。 • トスしながら、下にあるもの(ボールなど)をとって、カゴなどの他の場所に集めてみましょう。 クリック 以下のURLをご利用ください。 https://www.youtube.com/watch?v=zh4ndJu19Yg&t=3s #Page 22 5) バランスゲーム ゲーム内容: 家にある紙などでつくった長い棒や家にあるものでバランスをとるゲームです。様々なアイテムを使って、何秒間、手の上に物を乗せてバランスを取れるか、チャレンジしてみましょう。 新聞紙で作った棒 ペットボトル 頭に本! ちょっと難しいと思ったら・・・ • もっと簡単にバランスがとれるものを、家のなかから探してみましょう! 簡単すぎると思ったら・・・ • 手や頭以外のいろいろな場所でバランスをとってみましょう。例えば、背中、足などでバランスをとってみましょう。 クリック 以下のURLをご利用ください。 https://www.youtube.com/watch?v=uWvkMkaJ7-g&t=3s #Page 23 6) サイドステップゲーム ゲーム内容: 家にある棒(鉛筆やマジックなど6本以上)をコップを中心に左右数m離れたところに置き、合図とともに、サイドステップで棒を1本づつ取ってコップに入れるゲームです。 よーいどん! 棒をキャッチ 棒をコップにイン 反対側の棒を! ちょっと難しいと思ったら・・・ • 棒とコップの間の距離を狭めてみるとよいかもしれません。 簡単すぎると思ったら・・・ • サイドステップの代わりに片足けんけんや回りながら移動したりなど、かわったステップを考えてオリジナル性をお互いに評価し合いましょう。 クリック 以下のURLをご利用ください。 https://www.youtube.com/watch?v=ggSWLe_M1ks&t=4s #Page 24 7) 輪投げゲーム ゲーム内容: 家にある紙などでつくったリングを、数メートル離れたところに立っている的に見立てた人の手や足、頭に投げ入れるゲームです。 リングをつくります 向かい合って投げる人と的になる人を決めます すべて入ると4点! リングを4つ使って、何箇所(両手、片足、頭など)に入れられるかを競います。同じ箇所に2個以上入っても1点です。 ちょっと難しいと思ったら・・・ • 投げる人と的になる人との距離を短くしてみましょう。 • 入りやすいように大きなリングを用意しましょう。 簡単すぎると思ったら・・・ • 投げる人と的になる人との距離を長くしてみましょう。 • 的になる人は、入りにくいように動いてみてもよいかもしれません。 クリック 以下のURLをご利用ください。 https://www.youtube.com/watch?v=j2dEs29Vy0U&t=11s #Page 25 8) なわとびゲーム ゲーム内容: 新聞紙などの紙をつなぎ合わせて作った大きなリングをなわとびに見立てて、跳んでみよう この位の大きさのリングをつくります タイミングよくリングを回して跳んでみましょう! 20秒間で何回跳ぶことができるかチャレンジしてみましょう ちょっと難しいと思ったら・・・ • うまく跳べないときは、片足ずつまたいでみましょう。 • さらに大きなリングを用意してみましょう。 簡単すぎると思ったら・・・ • 後ろ跳びにもチャレンジしてみましょう。何秒続けられるかチャレンジしてみてもよいかもしれません。 クリック 以下のURLをご利用ください。 https://www.youtube.com/watch?v=iWh2MvkEH_Q&t=5s #Page 25 8) なわとびゲーム ゲーム内容: 新聞紙などの紙をつなぎ合わせて作った大きなリングをなわとびに見立てて、跳んでみよう。 この位の大きさのリングをつくります タイミングよくリングを回して跳んでみましょう! 20秒間で何回跳ぶことができるかチャレンジしてみましょう ちょっと難しいと思ったら・・・ • うまく跳べないときは、片足ずつまたいでみましょう。 • さらに大きなリングを用意してみましょう。 簡単すぎると思ったら・・・ • 後ろ跳びにもチャレンジしてみましょう。 何秒続けられるかチャレンジしてみてもよいかもしれません。 クリック 以下のURLをご利用ください。 https://www.youtube.com/watch?v=iWh2MvkEH_Q&t=5s #Page 26 9) 鬼をやっつけろ!ゲーム ゲーム内容:参加者が鬼をパンチしたりキックして倒すゲームです。画面には様々な角度か鬼が現れ、参加者は鬼が消えるまでパンチしたりキックしなければなりません。 鬼のお面をご用意! 鬼が画面に現れたらパンチやキック! 参加者はゲーム前にパンチやキックの練習をしておくといいですね。 簡単すぎると思ったら・・・ • ゲーム課題を、例えば、赤鬼が現れたらキック、青鬼が現れたらパンチとかにアレンジするといいかもしれません。 簡単すぎると思ったら・・・ • 変顔をしてモンスターを笑わせたり、「ラブアタック」を繰り返して、鬼と友達になるような課題もおもしろいかもしれません。 クリック 以下のURLをご利用ください。 https://www.youtube.com/watch?v=GAHkxGWGm-I&t=2s #Page 27 10) タイの伝統的ダンス (ラムワン) 活動内容:「美しい月明かり」は、タイの有名なダンス民謡です。ダンサーは曲のリズムに合わせてステップを踏み、円を描くように踊ります。ペアを作り、お互い輪になって踊ります。 この活動は、子どもたちがリラックスして自分の体を知るために役立ちます。 ちょっと難しいと思ったら・・・ • 手の動きを自由にしてみましょう。 • 円の中を歩きながら、手を上下に動かすだけでもいいかもしれません ダンスは役に立ちます • 体を発達させ、脳を刺激し、 細かい運動の機能を高めるかもしれま せん。 • 左右を識別する練習になるかもしれま せん。 • 子どもをリラックスさせ、親との良好 な交流になるかもしれません。 クリック 以下のURLをご利用ください。 https://www.youtube.com/watch?v=WtPrzQTt1KI&t=1s #Page 29 4章 よくある質問・実際に行った活動を踏まえて・今後の展望 よくある質問 これは、誰のためのガイドブックなのでしょうか? COVID-19のパンデミック時には、知的障害や心理社会的障害のある子どもたちなど、運動したくても外に出られない人たちのために、私たちは運動を促すガイドブックをこのたび作成致しました。また、本ガイドブックは、親が子どもたちに、家での運動を勧めることも意図して作られています。 本ガイドブックにおけるZoomの位置づけを教えて下さい。 Zoomは、本プロジェクトが主催するワークショップにおいて、参加者に向けて認知度や知識、スキルの向上を図るために使用されるオンラインツールです。 一方で、本ガイドブックは、運動を推進する上で重要な内容をまとめた参考資料です。本ガイドブックは、紙媒体あるいはデジタル媒体として手にすることができます。本ガイドブックは、保護者に対して、家庭でどのような運動ができるのかを伝え、その手助けをするためのものです。 #Page 30 障害のある子どもたちに対して、どの程度の頻度で運動するように伝えれば良いでしょうか? 一般的に、子どもは毎日60分の運動を必要としています。 また、運動は週に3回以上、ある程度活動的なものを行う必要があります。しかし、活動的な運動ができない場合は、少なくとも30分間、本ガイドブックに掲載されているような運動を行うことを推奨します。その際、保護者の方は、子どもたちがどの程度運動に集中できるのかを見極めながら行っていただくとよいと思います。 コロナ禍において、障害のある子どもたちが運動し、健康増進を目指す上で、一番大切なことは何でしょうか。 一番大切なことは、子どもたちが体を動かし、自分にとっての楽しみを見つけ、健康的に社会に関わり、そして何より、彼らが毎日の生活の中で、たくさん笑顔になってもらうことでしょう。 実際に行った活動を踏まえて 1.参加者に対して正しい方向性を示し、問題を解決し、前向きな変化をもたらすためには、正確な状況分 析が必要です。正確な状況分析を行うことで、実際に生じた問題に対して正確な情報を集めることがで き、問題に対して効果的に対処することができます。 2.Zoomのようなオンラインツールの使用は、コミュニケーションや情報伝達の新たなスタンダードになっ てきています。社会が成長し、社会的な弱者の支援を行う我々としては、これらについて学び、専門的 に使いこなせなければいけません。 #Page 31 3.CEPプロジェクトにおいては、APCDは様々なパートナー(JICA, 筑波大学, ASEAN自閉症ネットワーク, メコン圏知的障 害者ネットワーク連盟)の円滑な調整役を務めました。APCDは、プロジェクトを成功させるために、各パー トナー組織の強みと可能性を相乗的に引き出すことができました。 4.本ガイドブックは、コロナ禍において、子どもたちと一緒に活動する両親や家族を手助けするもので す。これらを実践することで、家族間の関係の改善や、地域資源の動員を促すことができるでしょう。 5.本プロジェクトは、日本やASEAN諸国における様々なパートナーとの連携に関する1つのモデルとなる かもしれません。また、我々の地域におけるコロナ禍の中、障害のある人たちや、社会的弱者の人々に 対して、前向きな変化を引き起こすための1つの実践を示すことができました。 今後の展望 1.本プロジェクトで作成されたガイドブックとその理念を、より大きな規模(他の地域や、他のアジア太 平洋諸国)とより小さな規模(地域コミュニティレベル)の両方で広め、伝えていくことが望まれます。 2.本プロジェクトと同じ枠組みと方法を使うことで、他の課題(食の安全や余暇、レクリエーション、ス ポーツやメンタルヘルス)や他の対象者・社会的弱者にも、我々は何か同様なものを提供できるのかも しれません。 #Page 33 5章 パートナーの声 ASEAN諸国 ここでは、直接恩恵を受けたASEAN諸国の人たちの話や感想を紹介します。 運動をしていると楽しいです!(男児、6歳) 同じ悩みを持つ親御さんたちと知り合えた。 COVID-19感染後も、このようなワークショップを開催してほしい。(父) カンボジア この取り組みは画期的なものです。これは、インドネシアとASEAN全体で自閉症の人の両親に利益をもたらします。このCOVID-19感染の間でさえ、身体活動は彼らの適切な発達のために必要である。3つのワークショップはすべて素晴らしい! (自閉症児の家族) インドネシア 運動はわかりやすく、簡単にできました。私は自閉症の男の子と一緒に運動をしています。ストレッチ、ヨガ、ジャグリングが好きです。このガイドブックを他の自閉症の団体や自閉症の人の保護者に共有しようと思っています。(自閉症協会会長、父) ラオス 3つのワークショップはどれも本当に楽しかったです。最も重要なポイントは「ASEAN諸国間での共有」です。娘はヨガを気に入ったようです。娘が簡単にストレッチできるように、ヨガのポーズを簡単にします。また、ビニール袋を使ったゲームは、娘にとって簡単で楽しかったようです。(母) マレーシア #Page 34 初めてAPCDから招待状を受け取った時は、家にこもっていて社会的な距離を保つことが難しい状況だったので、とても嬉しく感じました。今回、これまでの第三国研修で出会った仲間と再会することができました。 エクササイズでは、私はヨガが気に入りました。リラックスしてストレスを発散できます。私のヨガの経験と知識を、障害者協会の皆さんと共有したいと思います。(ボランティアメンバー) ミャンマー 母親としては、息子が幸せなことが何よりの喜びです。息子がやる気になってエクササイズをしている姿を見て、いつも笑顔だったので、それだけで十分だと思いました。(母) 家にあるものを使ってエクササイズができることを知りました。この体操を私のような人たちにも教えてあげようと思います。(母) フィリピン 心理社会的障害のある人々とその家族はオンライン活動を通して、自宅で一緒で運動することができます。トレーニング資料は難しくありませんでした。ひとりひとりが自分の運動の日課に無理なく合わせることができるので、笑顔で取り組むことができます。彼らは、このCOVID-19感染状況であっても、幸せで快適に過ごしているように見えます。このプロジェクトはとても興味深いです。 タイの精神疾患協会会長 「鬼をやっつけろ!ゲーム」や「お手玉ゲーム」、「バランスゲーム」、「サイドステップゲーム」が娘も私も気に入りました。娘が喜んでくれたので、私もとても嬉しいです。(母) 「鬼をやっつけろ!ゲーム」や「お手玉ゲーム」が好きです。ママとパパと一緒に遊びました。面白かったです。(自閉症、32歳) このエクササイズはとてもシンプルで簡単です。週に一度はこのエクササイズを行う予定です。(自閉症児の教師)ワークショップが楽しかったです。私も子どもに教えます。(母) ベトナム #Page 35 付録1: 例:オンライン活動でのアクティビティの進め方 60分間の活動の時の流れ: ポイント 1.集合 2.あいさつ 5分 流れの確認 10分 3.準備運動 15分 4.アクティビティ① 5分 <休憩> 15分 5.アクティビティ② 5分 6.クールダウン 5分 7.感想会 8.終わりのあいさつ 活動開始の時には ●活動開始前に、参加者にオンライン・プラットフォームに参加するように伝えてください。 ●参加者がオンライン・プラットフォームに参加する。 ●主催者はスクリーンにスケジュールを表示します。 #Page 36 挨拶、スケジュールのお知らせ •ワークショップを元気な挨拶で始めれば、ポジティブな雰囲気で良いスタートを切る事ができます。 •1日のスケジュールを最初に共有されていると、参加者は安心して準備ができ、活動に慣れる事ができます。 挨拶、スケジュールのお知らせ •ワークショップを元気な挨拶で始めれば、ポジティブな雰囲気で良いスタートを切る事ができます。 •1日のスケジュールを最初に共有されていると、参加者は安心して準備ができ、活動に慣れる事ができます。 準備運動 •ケガをしないために準備運動を行いましょう。 •メインのアクティビティで使用する体の箇所は特に念入りに行いましょう。内容についてはガイドブックの例を参考にしてください。 アクティビティ •時間と参加者の数に応じて、メインアクティビティの数を決定しましょう。各課題に必要な時間を割り当てられるよう、事前にリハーサルを行うとよいでしょう。 •参加者の障害の状態に応じて、ガイドブックに沿ってメインアクティビティを選択してください。 • 参加者が休憩したい時は、積極的に休んでください。 #Page 37 クールダウン • クールダウンにより、リラックス効果が期待できるほか、ケガを予防することができます。 •クールダウンのアクティビティは、メインのアクティビティで使用したのと同じ体の部位に焦点を当てたものを選ぶとよいでしょう。いくつかの例は、上記のガイドブックに掲載されています。 感想会 •参加者に、どのアクティビティが一番楽しかったか、どのアクティビティが難しかったかを尋ねてみるのもよいかもしれません。プログラムの改善にはフィードバックが欠かせません。 •次の活動に向けてプログラムを改善する事ができれば参加者の励みになります。 終わりのあいさつ •プログラムの最後にルーティーンを設けるのもいいでしょう。みんなで好きな歌を歌ったり、スクリーンに映し出されるグループの自撮り写真を撮ったりするのも楽しいでしょう。 そうしたルーティンで参加者は活動が終わったことを理解しやすくなるかもしれません。 #Page 38 付録2: コミュニティ・エンパワーメント・プログラム「COVID-19感染拡大下における特別ニーズのある子どもをもつ親へのエンパワメント」について 2021年1月21日時点 背景 国連障害者権利条約(CRPD)第30条によれば、障害者はレクリエーション、レジャー、スポーツ活動において他者と平等に参加する権利を有しているとされています。また、SDGs持続可能な開発目標の目標3では、全ての年齢層の健康と幸福を促進すると掲げられています。COVID-19感染拡大の影響を受けた脆弱層の中には、特別なニーズのある子どもたちも含まれています。(自閉症、知的障害、学習障害、心理社会的障害を含む)。特にロックダウンで外出制限となった中、特別なニーズを持つ子どもたちも長期間家の中で過ごし、身体活動や社会的なコミュニケーションが非常に限られた状況にありました。そこで彼らの心身の健康を促進するため、APCDは、特にASEAN諸国において、日本での知識や経験を有する日本人有識者と連携し、様々なレジャー、レクリエーション、スポーツに関する支援をしたいと考えています。 プロジェクトタイトル 「COVID-19感染拡大下における特別ニーズのある子どもをもつ親へのエンパワメント」 実装 アジア太平洋障害者センター(APCD) #Page 39 目標 1.COVID-19の発生時に特別なニーズのある人々の身体運動と健康増進への社会参加を促進する。 2.日本、タイ、メコン地域及び他のASEAN諸国において、COVID-19の現状や課題、そして好事例を互いに情報交換し、学び合う。 3.オンラインツールを活用し、特別なニーズのある子どもたち及びその親や支援者たちの更なる連携を強化し、ネットワークを構築する。 4.COVID-19を含む感染症発生時において特別なニーズのある人々の生活の質を向上させるため、家の中でも出来る革新的なエクササイズを提案したガイドブックを作成し、関係者に広く配布する。 期待される結果 1.COVID-19の発生時に、特別なニーズのある人々の身体的な動きと健康増進への社会参加が促進されます。 2.特に、日本、タイ、メコン地域及び他のASEAN諸国の関係者が、COVID-19の現状や課題、そして好事例を互いに情報交換し、学び合うことができる。 3. COVID-19感染拡大下においても、革新的なオンラインツールを活用し、特別なニーズのある子どもたち及びその親や支援者たちがネットワークを作り、繋がることができます。 4.特別なニーズのある人々が家の中でも出来る革新的なエクササイズを提案したガイドブックが作成され、各国の言語に翻訳された上で広く配布されます。 ターゲット 特別なニーズのある人、両親/家族、サポーターを含む 2,000人以上の人々が、オンラインデモンストレーションワークショップと出版の普及を通じて受益者になります。プロジェクトの関係者は次のとおりです。 #Page 40 日本 - 日本自閉症協会 (ASJ) - 筑波大学 - 自閉症や知的障害のある人々のためにアダプテッド体育・スポーツを行うその他の日本の組織 ASEAN諸国 - ASEAN自閉症ネットワーク (AAN) o SMARTER ブルネイ カンボジア自閉症ネットワーク (CAN) カンボジア インドネシア自閉症財団 (YAI) インドネシア ラオスの自閉症協会(ラオスのAfA) マレーシア自閉症協会(NASOM) マレーシア ミャンマー自閉症協会 (MAA) ミャンマー フィリピン自閉症学会 (ASP) フィリピン シンガポール自閉症ネットワーク (ANS) シンガポール タイ自閉症親の会(AUタイ) ベトナム自閉症ネットワーク (VAN) ベトナム メコンサブ地域諸国 - メコン圏知的障害者ネットワーク連盟 知的障害者の自己擁護団体のネットワーク #Page 41 カンボジア(ローズグループ) ラオス (タレントグループ) ミャンマー(フューチャースターグループ&モーニングスターグループ) タイ(ダオ・ルアン・グループ) ベトナム(マイ・フューチャー・グループ) - その他 タイの知的障害者の親の会(APID) タイの精神疾患に関する協会や、ASEAN諸国の心理社会的障害に関する協力団体 #Back cover 主催 独立行政法人 国際協力機構(JICA) 筑波大学 アジア太平洋障害者センター(APCD) とのコラボレーションが実現しました。 ASEAN自閉症ネットワーク(AAN) メコン圏知的障害者ネットワーク連盟(United ID Mekong Network) タイ精神病協会(AMIT) タイ知的障害者協会(APID) タイ自閉症協会 (AU) 日本自閉症協会(ASJ)